2013年03月10日

Taisez moi / Didier Wampas

Taisez moiレ・ヴァンパス les Wampas を率いて28年。筋金入りのパンク、ディディエ・ヴァンパス。パリ交通公団の技術職員として長年働き続ける、尊敬すべき労働者ロッカー。Taisez moi (テゼ・モワ)は、彼の初ソロアルバム(タイトルは「オレを黙らせろ」という意味に解していいと思うが、フランス語の用法としては間違ったもの(のはず))。泣かせる傑作だ。60年代風バンドサウンドに乗せて、辛辣なのかふざけているだけなのかよくわからない、いつもながらの歌詞を飄々と歌う。レ・ヴァンパスのときとくらべいくぶんアコースティック寄りのバックの音のおかげで、ヴォーカルもリラックスした感じに聞こえ、肩の力の抜けた作品になっている。

収録曲のなかで一番おもしろかったのは Chanteur de droite (右派の歌手)という曲。ミシェル・サルドゥ Michel Sardou(右派歌手の超大物)をモデルとし、この歌手が左派から忌み嫌われる現実を批判的に語り、同時に、売れるため左派にすり寄る凡百の歌手たちを揶揄している(あるインタビューによれば、ディディエは左派の集会でわざわざサルドゥの歌をアカペラで歌い、ブーイングを浴びたらしい。そしてそれをきっかけとしてこの曲を構想したらしい)。党派性とは無縁のところですべての気に食わぬものに攻撃を仕掛けてゆく彼の子供っぽい、しかし自由な精神が発揮された曲だと思う。他にも La propriété c'est du vol (所有は泥棒だ)とか Punk Ouvrier (労働者パンク)といった痛快な曲が満載。最後の Ainsi parlait Didier Wampas (ディディエ・ヴァンパスかく語りき)では、オレを黙らせた方がいい、でないとこれからも陰険にふるまっていろんなことに文句を言い続けるぜ、と堂々と宣言して去っていく...。

今後彼が成熟して大人の歌手に変身するようなことは間違ってもないだろう。死ぬまで、語の本来的な意味での「パンク」であり続けてくれることと思う。




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posted by cyberbloom at 22:32| Comment(0) | FRENCH ROCK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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