2012年04月30日

“Cançāo de amor” Elizete Cardoso

A_Meiga_Elizete-thumb.jpgカレンダーは確かに4月なんですが、寒かったり温かすぎたり、体感的にはすっきり「春がきた」とよびたくないこのごろ。どうなってるの、とぼやく朝も、通勤途上で見かける草花は新しい季節の到来を満喫しているようです。手入れされた庭、道ばたと様々な容姿で私を見て!とアピールする花々を見るたびに、寒い暑いと右往左往する人の事情を微笑ましく眺める、大いなる天然の存在を感じます。
 
花の生のみずみずしさから連想したのが、ブラジル音楽の名華、エリゼッチ・カルドーゾのデビュー曲、『愛の歌』。清々しさと、内に情熱を秘めた何とも言えない可憐さがあって、うっとりさせられます。フルメイクの蠱惑的な微笑ではなく、「素」の笑顔にやられてしまう、あの感じ。バックの枯れたサクソフォンの音色は、春霞のように、これから大輪の花を咲かせることになるエリゼッチのういういしい声をやさしく包み、気分をいっそう盛り上げます。

ご紹介した曲はインターネット上では試聴できませんが、若いエリゼッチの声はここで聴く事ができます。

http://youtu.be/mlTnl41_Sxs


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2012年02月03日

”Love Has No Pride” Bonnie Raitt (1972)

もはや「ヴァレンタイン・デイの月」、になってしまった2月に、あえてトーチソングのクラッシックを選んでみました。

ずばりタイトル通りの内容。あなたにまた会えるのなら何だってする・・というリフレインだけでも切ないのに、胸揺さぶるサビのメロディがたまらない。「そういう状況」に身を置いていなくとも、しんみりしてしまいます。

歌い手をその気にさせてしまう曲なようで、この歌の作者も含め男女とりまぜいろいろなバージョンがありますが、ボニー・レイットの歌ったものが個人的に一番だと思います。

思い入れしやすい歌詞に、盛り上げてくれるメロディのおかげか、ついつい歌い上げ上滑りになったり、過剰に甘くなるパターンに落ちてしまうのが多い中、地に足の着いた歌いっぷりなのがまず違う。そして「説得力」がある。共感できない嘆きをえんえんとまくしたてられても困ってしまいますが、丁寧に、繊細に歌われる「痛み」にはつい耳を傾けてしまいます。

そして、歌の力で、歌詞が描くヒロイン像を超えたところを垣間見せてくれるのがいい。歌詞だけ読むと過去にしがみつく哀しいヒロインが浮かびますが、ボニー・レイットの歌には、やり直せるものなら・・・という言葉とは裏腹に、愛を失った事を受け入れまた歩き出そうとする姿が見いだせます。彼女の声にある、いい意味での「真面目さ」がそうさせてくれるのかもしれません。

歌い手の個性と、それに引き合ういい歌とが結びついた時に起こるマジック・モーメントの例だと思うのですが、いかがでしょう。男子はナチュラルなコケットがあるリンダ・ロンシュタットの歌を好むようですが、女子が支持するのはやはりボニーのほうでしょう。


聞いてみたい方はこちらをどうぞ。ライブバージョンですが、弾き語りでじっくりと、聴かせます。

http://youtu.be/KbqXMQCq59U


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2010年04月15日

“Water No Get Enemy”アルバム“RED HOT+RIOT”より

Red Hot + Riot: Music & Spirit of Fela Kuti春の音楽、というと着心地のいいコットンのカーディガンのような、さわやかで快適な音楽を思い浮かべるかたも多いかもしれません。が、個人的には、息を潜めていた緑が萌え出す前の、樹皮の下のエネルギーの高まりを感じさせる、「木の芽時」な音がピンときます。例えば、アストル・ピアソラのタンゴ。バンドネオンやヴァイオリンが朗々と甘美なメロディーを歌い上げる部分より、アンサンブルがごつごつギコギコとぶつかりあう、音楽的にあまり美しくない部分が、「春」なのです。
 
そこでご紹介するのが、アフロ・ビートの益荒男、故フェラ・クティのトリビュート盤に収録された “Water No Get Enemy”。アメリカのヒップホップ世代を代表するミュージシャンが参加した、セッションの記録です。
 
曲そのものは、ごく簡素な構成。踏み台昇降運動を連想させる、一・二・一・二の地味なリズムの繰り返しに、音数の少ない醒めたメロディラインが絡み、これまたひなびた感じのホーンセクションが挟まる。これだけ。
 
しかし、この反復にメイシー・グレイとディアンジェロのヴォーカルが加わると、様子が変わってきます。クリアな美声とは縁のない個性派のシンガー二人は、基本のグルーヴに声を絡ませ、互いを挑発し、呪文のようにサビを繰り返します。リズムと歌がぶつかるでも同化するのでもなく、渾然一体として、濃く太くなってゆく。音楽の体温がじわ、じわと上がるのがわかります。
 
それに続くのが、ディアンジェロのエレクトリックピアノ・ソロ。音量・音色に限界があり、脇役に回る事の多い楽器ですが、何とも妖しく官能的。既にふつふつとたぎっている音楽の表面をちろちろりろりろと滑るように転がるくぐもった音のフレーズは、水道の蛇口からビーカーのふちいっぱいに水を注いだ時の、表面張力の限度ぎりぎりまで盛り上がった水面を思わせます。注がれる水の静かな勢いと、間近に迫った調和の破壊を見守る時の、あのいいようのないスリルを。
 
そして、ホーンセクションとヴォーカルがリフを繰り返し、曲は終わりを迎えます。水面が破れ、「決壊」した時の開放感に似た、突抜け感のあるエンディングです。
 
歌に入る前の、ジャズ・トランぺッター、ロイ・ハーグローヴとナイル・ロジャース(ディスコクラシック”おしゃれフリーク“のギターのひと)による、聴き手の体温をじんわり上げるソロパートも聴きものです。(特にハーグローヴの空気を切り裂くブロウときたら!)。
 
大げさかもしれませんが、音楽だけがつくることのできるスリリングな瞬間に立ち会える一曲です。セッションに参加したフェラ・クティの子息、フェミ・クティがこのセッションでの経験を”a time of my life”と呼んでいましたが、なるほど、とにんまりしてしまいました。

歌の部分からは、ここで聴く事ができます。写真の人物はフェラ・クティです。

セッションの雰囲気を見たい人はこちらをどうぞ。


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5スゴイ!買って良かった
5 Tribute album
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2010年03月06日

Rokia Traoré Tchammantché ロキア・トラオレ “チャマンチェ”

Tchamantché音楽にどっぷりはまって結構な月日が流れましたが、いまだ足を踏み入れ難いのがワールドミュージックのコーナー。毛嫌いしているわけではないけれど、どうにも落ち着かない気分になるのです。好奇心いっぱいにエスニックフードを味わうように、自分の楽しみのために気軽につまんで楽しめないやっかいな性分も災いしてしているのだと思いますが、ワールドミュージックが自分の血肉となっている普段着の音楽と明らかに違う、「特別な音楽」であることにどうも原因があるようです。素晴らしい、でもしっくりこない。向き合うのにエネルギーがいる。そしてせっかく気合いを入れて買った一枚も、どこかに埋もれてしまう‐ワールドミュージックとのつきあい方は、いつもそんな感じでした。
 
しかし、このマリの女性が作る音楽は違いましたね。歌の言葉は彼女の国の言葉で全く耳馴染みがないし、楽器もメロディーも基本はアフリカのもの。洗練された音作りから、今の音楽を浴びて育った人が作るモダン・アフリカンポップの一つにくくられるべきものなのでしょう。しかし、この音は、私のよく知っていて、この上なく好きな音楽とつながっている。1曲目を聴いて思い出したのは、アメリカは深南部の片田舎で、ギターをつま弾きながら歌われていたカントリーブルースでした。
 
インターネットのおかげで、リスナーはワールドミュージックのブームが起こったころよりもより気軽に世界の音楽をつまみ食いできるようになり、また一方でより硬派な探求も可能になりました。しかし、そんな「違うこと」を前提にしたアプローチを超えて、ワールドミュージックのコーナーに分類される一人のシンガーの、「私」の音楽の追求の果てに、マリとアメリカ深南部がふっと結びつき、共鳴し合う瞬間がある。おもしろいと思います。
 
フランスを拠点に、音楽を発信しているトラオレ。フランス語、英語の曲もアルバムに収録するひとでもあります。ワールドミュージックというくくりをすり抜け、洋楽漬けの日本人に身近に置きたいと思わせる、そんな音楽が、世界中が耳を傾ける新しい音楽になるのかもしれません。

問題の1曲目はここで聴く事ができます。


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5 アフリカ音楽の底知れなさ!!!




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