2012年04月25日

『あ、やるときゃやらなきゃダメなのよ』 Crazy Ken Band

春、それは動かなければならない季節。特に今年は、いろいろな意味でやならければならないことが積み上がっているように思います。そんな日々、聴いているのがこの一曲。

甘い日々/あ、やるときゃやらなきゃダメなのよ。上から大声で叫ばれても、叱咤激励されてもかえってめげちゃうものですが、すんなり耳に入ってきて、身にしみます。控えめな笑顔で「がんばらなくっちゃね!」と言われて、ついうなづいてしまう、そんな心持ち。

歌詞に秘密があるのかもしれません。さらっとしているようで奥が深い。例えば、登場する「君」とその「不在」は、聴く人の心持ち次第でいかようにも「読み替え」ができます(Sheでなくってもいいのかもしれない?!)。サビの「彼女曰く」の部分の微妙な言い回しの違いも、ニクいですね。相手へのパーソナルな気遣いも感じます。

やる事と、要求される努力との両方のプレッシャーに悶々とする夜が明ければ朝が来る。起きて、顔洗ってスカッとして、家を出る。玄関から一歩踏み出すちっぽけな勇気に、この曲は応えてくれます。あれこれ言うだけの人はほおっておこう。やるときゃやならきゃダメなのよ。

「思い切って見上げた明るい空」を音で描いてみせたのもこの曲のすごいところ。春のやわらかくて、どこまでもひろがってゆきそうな空と、軽やかな曲調がぴったりマッチします。

聴いてみたい方はここでどうぞ。

http://youtu.be/dwPGgpm5Gjc


GOYAAKOD

人気ブログランキングへ
↑クリックお願いします


posted by cyberbloom at 00:00| Comment(0) | JAPANESE ROCK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月12日

浅川マキ 『それはスポットライトではない』

DARKNESSIV浅川マキさんが亡くなった。ステージに現れなかったことで、この世にバイバイしたことを皆に伝える事になったと聞き、そうか、と納得してしまいました。鈴木いづみの小説『ハートに火をつけて!(誰が消す)』に名前を変えて登場する、からりと皮肉の利いた handsome な歌手のイメージと、すっと結びついたからかもしれません。
 
死を伝える記事の見出しには「アングラの女王」といったいかにもな名詞が並んでいます。確かに、華やかな場所とは縁のない人でした。しかし、シンプルに、すぐれた歌い手であったことを強調しておきたい。特に、自己流に歌詞を訳して歌った「洋楽」のカバーは、言葉の選び方ひとつ、歌い方ひとつに浅川マキという人の個性と魅力が現れていたと思います。
 
とりわけ印象に残った一曲を選びました。原曲の歌詞にある「想う人との再会」の部分をばっさり切ることで、永遠に失ったもの−あんたの目に輝いていたあの光−を思っては悔やむ男の気持ちに焦点を合わせた彼女のバージョンは、作者であるオリジナルのジェリー・ゴフィンや、ロッド・スチュワート、ひいては彼女にインスピレーションを与えた御大、ボビー・ブランドのバージョンも軽く凌駕するものになりました。途中挟まれる原曲の英詩も味わい深いのですが、浅川マキの声と日本語詩は、色恋を超えた「おいら」の純な心を切々と伝えて、たまらない気分にさせてくれます。

それはスポットライトではない(It’s not a Spotlight)

日本人の歌う洋楽、という点からも、かなりのカッコよさだと思うのですが。




GOYAAKOD(初出:2010年1月25日)

rankingbanner_03.gif
↑クリックお願いします

FBN25.png
posted by cyberbloom at 15:29| Comment(0) | JAPANESE ROCK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月23日

“サン・トワ・マ・ミー” RCサクセション アルバム『カバーズ』より

カバーズ忌野清志郎の訃報は、旅先のホテルの暗いロビーに置かれていた新聞で知りました。いつもどこかで、どかどかウルサくやっていてくれるのだ、と勝手に思い込んでいた身には、こたえました。
 
清志郎氏の残した歌やその人については、いろいろな人がいろんな切り口でこれから語っていくでしょうし、そうでないといけないと思っています。その影響と、スルーのされ方を考える事で、日本のロックとは、Jポップとは、という本質的な問いの答も見えてくるかもしれません。
 
彼の歌は、輸出品としてインターナショナルにウケるものではないと思います。クール・ジャパンのような切り口では伝わらないでしょう。しかし、この国が本当に開けた国になって、海を越えてやってきたたくさんの人が日本語に親しみ日本の歌を聴いてみようかと思った時、きっとわかってくれるのではないかと思っています。 

忌野清志郎の人と仕事についてはこれから出てくる立派な書き物に譲るとして、つまみ食い的に愛聴してきたいい加減な聴き手ではありますが、僭越ながらこの場を借りて一言述べさせていただくとすると、「忌野清志郎は、とにもかくにも歌うたいとしてすばらしかった。」ロックの人で言葉をまっすぐ耳に届けられる人はいまだに彼しかいないし、また、それらしくするだけでも十分カッコいいソウルミュージックという音楽を、型を越えて自分のものにした希有な人だと思います。
 
今回チョイスしたのは、カバー曲ばかりを集めたRCサクセションのアルバムに収録されている一曲。アダモがヒットさせたフランス歌謡で、越路吹雪のおかげでニッポンの歌謡曲となりました。岩谷時子の詞をほとんどそのまま残し、オンナ歌をオトコの歌に変えて歌っています。録音時には、セックス・ピストルズの“マイ・ウェイ”のようなアイロニカルな意図もあったのかなと思いますが、出来上がりは至極まっとう。ちゃんとロックしているのはもちろん、曲自身の持つベタな感じを引き受けつつ持ち込まれた、軽やかさとユーモアが光ります。そして、「目の前が暗くなる」という詞がちらりと示す、この歌が引きずる影の部分を忘れていないところが、深いなと思います。

画像はよくないですが、ぜひライブ映像をどうぞ。

<おまけでもう一曲>
こういう甘い情景をさらっと歌にするひとでもありました。

カバーズ
カバーズ
posted with amazlet at 09.06.03
RCサクセション
USMジャパン (2005-11-23)
売り上げランキング: 107
おすすめ度の平均: 5.0
5 どれだけ風が吹くと山が動く
5 日本語への置き換えが清志郎
5 日本ロックの名盤
5 コンサートで聴いた
5 今でも生きています。




GOYAAKOD

rankingbanner_03.gif
↑クリックお願いします

FBN25.png
posted by cyberbloom at 21:54| Comment(0) | JAPANESE ROCK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月06日

かまやつひろし 「ゴロワーズを吸ったことがあるかい?」

2008年1月1日より、フランスでは喫煙禁止令が施行された。カフェ、バー、ディスコ、レストランなどなど、室内は全て禁煙である。タバコを吸いたい人は、テラスへどうぞ、ということらしい。

フランスというと、愛煙家が多く、カフェの中では、ゆらりゆらりとタバコの煙が漂っていたものだが、そんな空気ももはや過去のものとなってしまったのだろう。

なんといっても、この法令に違反した者には68ユーロ(約1万円)の罰金が課せられ、またオーナーが灰皿を置くなど、喫煙を誘惑するような行為を取ると750ユーロ(約12万円)もの罰金になるというのだから。

そういえば、「ムッシュ」ことかまやつひろし、かつて「ゴロワーズを吸ったことがあるかい?」という歌を歌っていました。やがてゴロワーズというブランドも失われてしまうのかもしれません。


キャベツ頭の男





ムッシュ・カマヤツと小田和正の共演は文句なしに素晴らしく、大人の洗練を感じさせる。この歌はゴロワーズというフランスのブランドをピンポイントで指示しているわけだが、ネオリベが全面化している状況で「モノに凝ることが人生の幸せにつながる」ことがだんだんとありえなくなっているように思う。「何かに凝らなくてはダメだ」と飲み会で上の世代の人から同じように説教された覚えもあるが、それは「団塊オヤジ的な美学」と言えるかもしれない。ある意味「村上春樹」的でもある。

確かに私の世代のそういう価値観をずっと共有してきた。文学書にしろ、レコードにしろ、服にしろ、それが大した金額でなくとも、自分の持っているありったけのお金をつぎ込む快楽。それによって自分がボトムアップされたような錯覚。フランスはその重要な指標だったのだ。フランスが即物的に人生の幸せにつながることがありえたのだろう。

この美学は「消費による自己実現」という方向性と明らかに重なり合う。しかし、消費による自己実現が難しくなり、モノに凝ろうと思ってもできない時代は、コミュニケーションの内実を回復させていくチャンスなのだ。だってモノに凝るなんて、さびしく孤独な、単に自己満足な行為にすぎないのだから。とは言っても、今の日本ではモノに見放される恐怖ばかりにとらわれて、別の生き方の可能性に気がつくことさえ難しい。

この歌はフランスと世代的な価値観が絡み合っていて、世代間対話として良い教材だと思う。若い世代にはこの歌詞はどのように響くのだろうか。まず「ジャン・ギャバンって誰?」って話になるだろうが、意外にも学生たちのこの歌に対する評価も共感度も非常に高かった。私のようなバブル世代から見ると今の20代のファションは地味に見えてしまうが、金をかければいいというバブル的発想とは別の形でモノへのこだわりが徹底され、洗練度も高まっているのだろう。

フランス語で歌う歌姫、カヒミ・カリイとムッシュ・カマヤツのデュエット「若草の頃」も素敵である(この曲は日本語)。ムッシュのうまい歳のとり方というか、爽やかな枯れ具合は、カヒミ・カリイのロリータ・ボイスともすっと馴染んでしまう。笑い声とともに夏の草原を疾走するような軽やかさ。ゲーンズブール・トリビュートな「彼らの存在」に収録。

A FANTASTIC MOMENT - M. Kamayatsu & Kahimi Karie



cyberbloom



Je m'appelle MONSEIUR ~我が名はムッシュ
ムッシュ・カマヤツ
READYMADE INTERNATIONAL (2002-07-27)
売り上げランキング: 17318
おすすめ度の平均: 4.5
5 素晴らしい大御所
4 こんな大人になりたい!
5 ムッシュ最高!
4 耳で聴くドキュメンタリー




rankingbanner_03.gif
↑ライターたちの励みになりますので、ぜひ1票=クリックお願いします!

FBN22.png
posted by cyberbloom at 22:18| Comment(0) | JAPANESE ROCK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。